2025年 技術者育成総集編

公開日: 2026年1月12日 | 最終更新日: 2026年1月4日

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新春特別号 2025年 技術者育成総集編

 

 

新春特別号として昨年のメルマガでアクセス数が多く、
読者の方の関心が高かったものを中心に、
2025年 技術者育成総集編として抜粋してお伝えしたいと思います。

 

 

各項の見出しをクリックいただくと、バックナンバーに移動します。

 

 

 

 

 

技術報告書の考察項に何を書くべきか

 

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今日のワンポイントは、

 

「技術報告書の考察項に書くべき内容の指導を行いたい」

 

場合、

 

「結果の技術的な深堀に加え、できる、できない、ではなく、
技術的推測の妥当性を証明する技術アプローチ案を記載する」

 

よう若手技術者に指示してください。

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大変多くの方にお読みいただいたようです。
技術報告書における考察項が、技術者、またはその指導者層の方々にとって関心の高いものであることが示唆されています。

 

技術報告書を作成するにあたり多くの若手技術者がこだわり、
そして重要視するのが考察です。

 

 

リーダーや管理職クラスの方でもここを重視する場合もあります。

 

当然ながら考察項は技術報告書の中で唯一自由記述が許される項目であり、
技術者の思考の幅を広げるために必要なものです。

 

 

ただこのような活用ができるには”前提”があります。

 

それが、考察以前に”実験・試験、そして結果という事実を明確に記述できるか”です。

 

自分の行ったこと、そこから得られたデータなどの”事実”を適切に記述できない技術者は大変多い。

 

事実が抜け落ちてる、誤解しているといった状態で、妥当な考察をすることは絶対に不可能です。

 

この前提を理解した上でもし考察で記述するのであれば、
できるできないは”置いておいて”、考察で記述する推測の妥当性を検証するためのアプローチ案を考える、
ということが考察では大変重要です。

 

 

もし考察項の書き方が分からない、もしくはその指示方法が分からないというときは、
妥当性検証の手法を提案するということから考察を書き始めると、
考察の文章にメリハリがつくと思います。

 

 

 

 

 

若手技術者が技術的な打ち合わせで話した内容を理解できていない

 

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今日のワンポイントは、

 

「若手技術者が技術的な打ち合わせで話した内容を理解できていない」

 

場合、

 

「議事録を作成させる、作成させない場合は、議事録を必ず一読させる」

 

ことを若手技術者に徹底してください。

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リーダーや管理職の方はもちろん、若手技術者の方々自身が悩まれているのは、
日々の打ち合わせの内容理解にあるということを改めて感じます。

 

 

若手技術者の方々は打ち合わせなどで出てきた技術専門用語に引っ掛かり、
話の途中でその用語の意味を調べようとすることなどで意識がそちらに向いてしまい、
打ち合わせ中の内容を聞き逃すことなどで全体を把握することが苦手な傾向にあります。

 

 

用語が出てきた瞬間にPCやスマホで、
Web検索やAIを用いたゼロクリック検索で単語の意味を理解することに意識と時間を使ってしまうのです。

 

 

この手の単語をメモしておいて後から学習することは悪くありませんが、
様々な顧客で技術者の動きを見ていると、
半分以上は専門用語が出てくるとその場で調べ始めている印象です。

 

中にはそのようなことをしながらも全体をきちんと把握できている技術者はいますが、
殆どが中堅技術者です。

 

 

上記のような行動をする若手技術者は十中八九話の内容についていけていません。

 

若手技術者のこのような状態を改善するのに最も効果的なのは議事録作成です。

 

 

若手技術者の作成した議事録を見れば、
どのレベルで理解をしたかをリーダーや管理職は概ね把握できるかと思います。

 

最近は生成AIを用いた議事録作成も一般的です。

 

 

技術者育成には全面的に肯定はできませんが、
これ自体はツールとして問題ないとの理解です。

 

 

技術者育成とこれらを活用するのであれば、
AIの作成した議事録の内容についてより突っ込んだ質問を作成者である若手技術者にすること、
そして議事録に書ききれていない部分について加筆をするといったことでも、
打ち合わせ内容理解のスキルは上がります。

 

 

 

いずれにしても適切な議事録作成ができなければ、
話し相手にわかりやすく説明する、質疑応答するといった、
技術業務の基本スキルが成長しないので、
技術者として表舞台に立つことは難しくなることは若手技術者自身が理解すべきことでしょう。

 

 

 

 

 

出張同行の若手技術者に必須の出張報告書(技術情報入手の場合)とは

 

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今日のワンポイントは、

 

「若手技術者に出張同行させて対外業務の経験を積ませたい」

 

場合、

 

「出張終了後に若手技術者に出張報告書を作成させ、必ず2営業日以内に初案を提出させる」

 

ことをリーダーや管理職は徹底してください。

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これも多くの方にお読みいただいたようです。

 

 

出張対応やそれに関連した書類作成スキルに難のある若手技術者が多い、
ということなのかもしれません。

 

 

 

出張という対外業務は若手技術者育成で成長のきっかけを与える重要なものであると同時に、
効率的に若手技術者自身のスキルアップにつなげるには出張報告書作成が絶対条件となります。

 

メルマガでは、外部企業との打ち合わせを通じ、技術情報を入手するという事例を示しながら、
実際の出張報告書の作成事例を示しました。

 

 

もしかするとこのようなHow toの情報が求められたのかもしれません。

 

ただ本質的なのはそのようなHow toではなく、
何故出張報告書が必要なのかという明確な目的意識と、
読者を意識してどのような内容にすべきかという基本構成理解に他なりません。

 

 

How toを覚えようというやり方では応用が利かず、
なかなかスキルが上がらないでしょう。

 

出張報告書をうまく書けるようになるには、
若手技術者は時間がかかっても、うまくいかなくとも、粘り強く書き続けるしかありません。

 

質はもちろんですが、何より数多く書くことが最重要です。

 

 

 

そしてそれを確認、添削するリーダーや管理職は軸ブレすることなく、
適切な指導を、こちらも継続する必要があります。

 

時間がかかるからやめる、内容を大幅に簡略化する、
といった考えをリーダーや管理職が持っている時点で、
若手技術者の成長速度は大きく鈍化するか、停止することは間違いありません。

 

 

指導する側にも忍耐が求められます。

 

 

 

 

 

技術チーム戦略立案とその伝え方の第一歩

 

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今日のワンポイントは、

 

「若手技術者も理解できる技術チーム戦略立案をして伝えたい」

 

と考えた場合、

 

「自社技術の強みの具現化や強化につながる技術テーマ複数立案したうえで、
チーム全体周知に加え、個別に伝える」

 

ことをリーダーや管理職は若手技術者に行ってください。
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このバックナンバーが多くの方にお読みいただけたことは、
個人的には大変うれしく思っています。

 

 

何故ならば技術者育成の土台となるのは、
技術チーム戦略という組織の方針だからです。

 

 

この辺りを考えずに前に進んでいるようだと、
技術者育成のやり方や考え方も途中で右往左往することになります。

 

よりどころとなる軸が無いのがその理由です。

 

 

メルマガでは生成AIも活用しながらプレキャスト型、ポストキャスト型の思考についても述べました。

 

 

前者は予め明確なゴールまで決めるもの、後者はやりながら決めるものです。

 

多くの企業がプレキャスト型”のみ”で動く傾向の強いことは、
意外と感じたかもしれません。

 

 

研究開発を中心とした新しいものの創出を求められる部署ではポストキャスト型が望ましい、
と個人的には考えているため本点を中心に取り組み方を解説しました。

 

自社技術の強みを明らかにし、
その実証や明確化に向けた技術テーマの立案を行い、
若手技術者にそれを周知し、同時に若手技術者側からの質疑応答に対応することがポイントです。

 

 

 

 

 

博士の学位を有する新人技術者の育成を何から始めるべきか

 

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今日のワンポイントは、

 

「博士の学位を有する新人技術者の育成を何から始めるべきかわからない」

 

場合、

 

「まずは社内の人脈形成支援、そして複数の開発テーマ完遂経験をさせる」

 

ことをリーダーや管理職は意識してください。
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これが多く読まれたということは、博士の学位を有する学生の採用を始めよう、
またはより積極的に進めてみようという企業が増えてきている傾向を示しているのかもしれません。

 

 

博士という学位の定義と個人的な解釈の加筆、
採用に当たって職務明文化が重要であること、
企業に勤務する会社員としての基礎教育や人脈形成支援が必要であることを述べました。

 

多くのリーダーや管理職にとって盲点となっているのは、
人脈形成支援かもしれません。

 

企業では技術者個人が周りと連携ができないと適切な技術業務推進が難しく、
結果として成果に到達できないのです。

 

 

学術業界への貢献を使命とした博士の学位を有する人物を企業で活かすには、
受け入れる側も相応の準備に加え、
彼ら、彼女らを適切に一会社員として活躍するよう教育、そして支援する必要があります。

 

 

一方で職務として決めたことにはリーダーや管理職は口を出さず、
期限を区切ってやりきってもらうという柔軟な考え方も求められます。

 

そのため、リーダーや管理職は定期的な報告を技術者側にするよう、
明確に指示しなければなりません。

 

同時に博士という学位を有する技術者側も肩書に胡坐をかくことをせず、
結果が強く求められるということを意識するといった、
学術界でも求められるプロとしての姿勢を民間企業でも徹底しなければならないでしょう。

 

 

 

 

 

若手技術者の出張報告書を読んでも次の指示を出しにくい

 

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今日のワンポイントは、

 

「若手技術者の出張報告書を読んでも次の指示が出せない」

 

場合、

 

「誰が、いつまでに、何をやるか、を明記した”今後の展開”を必ず書かせる」

 

ことをリーダーや管理職は意識してください。
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出張報告書の基本構成に関する問題が、
実業務に影響を与えるという例を示しました。

 

 

折角出張報告書を若手技術者が作成したものの、
それを読んでもリーダーや管理職が次に何をさせるべきか指示を出せなければ、
出張報告書はもちろん、出張自体に意味があったのかという話になりかねません。

 

このような問題が出やすい主たる原因の一つが、
出張報告書の4大重要作成項目の一つである”今後の展開”の未記載です。

 

今後の展開は、誰が、いつまでに、何をやるかを網羅した情報です。

 

 

同時に生成AIを使った報告書作成には情報漏洩のリスクがある、
といったことにも触れました。

 

何より出張報告書という技術者としては”苦なく作成できて当たり前”のことをできないという事実こそが、
リーダーや管理職から見て次に何をすべきかの指示を与えるに足りる情報を収集し、
それを上司と共有できない若手技術者の誕生と密接に関係していることを理解する必要はあるでしょう。

 

 

焦らず、しかし技術報告書として重要な項目は書けるようになるまで徹底的に教育する。

 

 

そのような姿勢がリーダーや管理職に求められます。

 

 

 

 

 

生成AIで得た技術的専門知識の妄信と依存で孤立化する若手技術者

 

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今日のワンポイントは、

 

「生成AIで得た技術的専門知識で若手技術者が孤立化している」

 

場合、

 

「専門書や学術論文、そして何より実験でそれが事実かを確認し、
中堅技術者やベテラン技術者と議論させ、最後は実験で確認させる」

 

ことを徹底させてください。
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これは昨年顕在化した若手技術者の課題の一つです。

 

若手どころか、中堅や比較的新技術に対する柔軟性のあるベテランも、
このスパイラルから出られないように感じます。

 

 

生成AIを十分に使いこなせる実践力を伴う知恵を有さない若手技術者が、
”知っている”という承認欲求を満たすことだけを考えてのめり込み、
孤立化する事象が着実に増えていると感じます。

 

本人が思っている以上に生成AIが研究開発に関する知識で供給できるものは内容が浅く、
また間違っている情報が含まれることも珍しくありません。

 

 

こうならないためリーダーや管理職は、
生成AIを適切に用いるための基礎力を若手技術者に身につけさせるという考え方が必要です。

 

 

もはや生成AIは普通の人も多く使うインフラのレベルまで浸透しているため、
この技術を活用することは前提となっているからです。

 

 

前述の基礎力の基本となるのは実践力を伴う知識である”知恵”ですが、
これを得るには実体験と人と人との討議が不可欠です。

 

 

若手技術者がひけらかす技術的専門知識についてより深く議論するため、
信頼のおける引用情報の抽出とそれをベースにした技術者間の議論、
そして実体験を得るための実験・試験をさせることが一連の流れです。

 

 

 

今後、生成AIによって孤立化する若手技術者は間違いなく増えると考えます。
中堅技術者も同様です。

 

孤立化した若手技術者の歩む道はバックナンバーをご参照いただければと思いますが、
本当に厳しい未来だと思います。

 

リーダーや管理職はそのような領域に将来有望な若手技術者たちが引き込まれないよう、
全力で関与してください。

 

 

 

 

 

まとめ

 

2025年までと同様、技術者育成に関する本質的な内容の文章よりも、
具体的な答えを示すHow toのような内容が多く読まれたようです。

 

 

最近は関連するコラムやメルマガのバックナンバーがAIの引用元として記されることも増えており、
これが一因かもしれません。

 

 

若手技術者の育成においては、技術報告書と議事録を含む出張報告書という、
技術業務インフラの書類準備と作成が肝要であることに変わりはありません。

 

 

繰り返しですが、ここに効率の考えを求めて内容の簡略化を行っては絶対にいけません。

 

 

技術チーム”全員”が質的に完璧な技術報告書や出張報告書、議事録が書けるようになって初めて、
簡略化や削減といった”引き算の議論”ができます。

 

 

ただ、このレベルに到達した技術チームはそもそも上記の書類作成を苦にしないため、
引き算の議論は限定的であることが多いと感じます。

 

 

 

もし時間不足するということが課題なのであれば、
会議やミーティングを減らすことを考えてください。

 

 

何かを決める、または技術的な議論を深める技術的討議ではなく、
ルーチンのように繰り返される進捗管理を目的とした情報共有のミーティングこそ、
効率化を求め削減のやり方を決めるべきです。

 

 

※関連コラム

打ち合わせ での最重要事項

 

 

ただこれらの話の多くは管理職側の話であり、
若手技術者に関するものではないでしょう。

 

若手技術者はきれいに仕事をすることを考えず、
我武者羅に目の前のことを取り組む、
というくらいシンプルな考え方でいいです。

 

若手技術者のうちは何故技術報告書や出張報告書を作成するのか、
といった疑問を感じる時間(余裕)があれば、
その一分一秒をこれらの書類作成に費やし、
リーダーや管理職に添削をお願いするという愚直な姿勢が成長の近道です。

 

 

今年も人材育成と一線を画した技術者育成に関し、
様々な情報を発信していきたいと思います。

 

 

 

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