技術報告書には時間軸や個人名の記載は不要
公開日: 2023年11月6日 | 最終更新日: 2024年6月23日
タグ: メールマガジンバックナンバー, 技術報告書, 技術者人材育成
技術者にとって文章を書く仕事は、大きく分けて2つのものがあります。
1つは議事録や日報のような鮮度が最重要で、迅速な情報共有が求められるもの、
もうひとつは技術報告書のように業務目的を理解した上での技術的事実の共有が最上位であり、
スピード感に加え、事実を丁寧に描写することが求められるものです。
これらについては、過去のコラムや連載でも述べています。
※参照コラム
第5回 普遍的スキルの鍛錬に最適な技術報告書とは何か 日刊工業新聞「機械設計」連載
今日は後者の技術報告書の書き方の中で、見逃されがちな技術報告書の書き方についてポイントを解説します。
技術報告書と議事録や日報の役割を混同しない
文章を書くという観点では同じ作業となることもあってか、
技術報告書と議事録や日報の役割を区別せずに、
これらの文書作成に取り組んでいるケースも多いようです。
それぞれの役割は記述の通りですが、この役割の違いによって求められるものも異なります。
議事録や日報では情報鮮度を最優先に、時間軸と行動の主語を明確化する
議事録や日報は情報の鮮度が第一なので、
例えば議事録であれば翌営業日までには回覧に回せる状態にするのが望ましいです。
そしてここでは、
・だれが
・なにを
・いつまでに
が大変重要なため、これらの情報をきちんと明文化すべきです。
個人名(場合によっては組織名/特に社外の場合)や時間軸の情報は極めて重要です。
技術者の中で、研究開発を主として業務を進める技術者の方々は、
若手技術者に限らず時間軸の考え方が弱いことが多く、
リーダーや管理職は上記3点を必ず網羅するという指示を徹底することが求められます。
技術報告書では業務目的を理解の上で、どのような技術的取り組みを行い、どのような結果が得られたかという事実共有が最優先
その一方で、技術報告書で最重要なのは、業務目的を理解した上での技術的事実の共有です。
誰がやったのか、いつやったのか、といった議事録や日報で重要な情報は技術報告書では不要です。
評価や実験、プログラム作成やその実行を行った際、これらの目的は何なのかを明確に述べた上で、
「どのような結果が得られたのかという”事実”を詳細に報告する」
ことが技術報告書の根幹です。
ここで、結果に対して技術報告書作成者である技術者にどう考えるかという投げかけも重要ですが、それ以前に
「行った事実がきちんと実験項で述べられ、明らかとなった/新たに得られた事実が結果の項で詳細に述べられているか」
という点をリーダーや管理職は確認すべきです。
事実をきちんと記録できなければ、妥当な考察ができるわけもなく、
そもそも技術報告書としての最低ラインを超えていないことをリーダーや管理職は理解すべきです。
※参照コラム
技術報告書には時間軸や個人名の記載が不要
ここまでの話を踏まえれば、技術報告書の中に日程などの時間軸の話、
誰がそれを行ったかといった個人名の記載は不要であるとお分かりになるかと思います。
これらの情報が技術報告書に記載されていた場合、
個人名については書かないか、書くとしても個人名ではなく所属や担当までにする、
時間軸についてはそもそも情報を記載しない、
という指導をすることが求められます。
経験の浅い技術者の中には、
・何故、そのような情報を記載してはいけないのか
・そのような情報があってもいいのではないか
という意見を述べることがあります。
リーダーや管理職はこれらについても頭ごなしに押さえつけるのではなく、
それぞれの文書の狙いを改めて説明し、
それらの主たる目的に対して不要な情報を記載しないことで、
文章の軸ブレを防ぐということについて丁寧に話をすることが求められます。
いかがでしたでしょうか。
議事録や日報と、技術報告書は同じ文書でもその目的が異なっています。
文章を作成するという観点だけで見ると、これらは混同してしまいがちですが、
リーダーや管理職は常に俯瞰的視点で物事を捉え、
若手技術者をはじめとした現場の技術者をしかるべき方向に導くことが求められます。
そういう意味では、リーダーや管理職も結局のところ技術者の普遍的スキルを活用しなければならないのです。
※関連情報
第1回 技術者の普遍的スキルとは何か 日刊工業新聞「機械設計」連載
技術報告書作成を進める現場におけるご参考になれば幸いです。
本コラムに関連する一般的な人材育成と技術者育成の違い
技術報告書の記載について、時間軸や個人名は不要であることをご紹介しました。
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より詳細をお知りになりたい方は、
業務報告に関する一般的な人材育成と技術者育成の違いのサイトをご覧ください。
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