社内学校を開校して若手技術者の教育を行いたい
公開日: 2026年4月6日 | 最終更新日: 2026年4月6日
タグ: OJTの注意点, メールマガジンバックナンバー, 技術者人材育成, 社内学校
今回は若手技術者育成を社内で推進するにあたり、
社内学校を開校するアプローチにおいて理解しておきたい点を解説します。

技術者育成に向けて社内に学校を作るという取り組みが始まっている
技術者育成を含む人材育成に関し、
一昔前はあまり時間やお金を使わない課題がありました。
人手不足やCOVID-19感染拡大などを経て状況は変わりつつあり、
人を育てることに対し企業は積極的になっていると感じます。
この流れで新たな潮流となるかもしれないのが、
「社内学校を開校するアプローチ」
です。
最近も以下のような取り組みが新聞等で紹介されていました。
※参考情報
埼玉新聞に社内大学「YAGIビルドアカデミー」の記事が掲載されました/八木建設株式会社
上記の参考情報では、
労働時間上限規制によるOJT依存教育の限界とばらつきという課題を起点とし、
横のつながりを持たせることも念頭に若手技術者向けの社内大学を開校したと述べられています。
コンセプト、狙い共に大変理にかなっているという印象を受けました。
類似の課題を感じ、上記のような取り組みに共感を持つ方も少なくないのではないでしょうか。
このような取り組みを実際に始めるにあたり、
主に研究開発を担うことを期待される若手技術者育成の観点から、
留意点を複数述べたいと思います。
技術者育成を念頭に置いた社内学校に重要なのは主に3点
社内学校における目的として、
”技術的な知識や実技の習得”を設定するのは悪いことではありません。
しかし社内学校といっても本当の学校ではなく、
あくまで企業における戦力化を目的とした技術者育成を行う場であることを考えれば、
学校の延長の様な考え方だけでは不十分です。
若手技術者育成を念頭に置いた社内学校を始めるにあたり、
特に重要なポイントは主として3つあると考えています。
以下がそのポイントです。
- 1. 横のつながり
- 2. 継続性
- 3. 若手技術者を講師に
それぞれについて述べます。
”横のつながり”は独りよがりになりがちな若手技術者に必須
前出の参考情報内でも狙いとして書かれていたことですが、
横のつながりというのは大変重要です。
特に研究開発を担う若手技術者は大学(院)の研究室生活時代の思考回路で動く傾向にあり、
一人で解決をしようとします。
責任感を持って取り組むという意味では悪くないのですが、
企業の仕事のほとんどは独りで完了しません。
社内(場合によっては社外)の様々な技術者や間接部門の社員との連携や協力があってこそ、
企業における技術業務を前に進めることができるのです。
このような横の連携の手始めとして若手技術者に体感させたいのが、
「同年代の若手技術者同士の交流」
です。
社内学校はこのような取り組みのきっかけとして、
適した選択肢であるといえます。
人との連携が苦手な若手技術者の課題については何度か取り上げたことがあります。
※関連コラム/連載
第32回 若手技術者配属直後に取り組ませるべき意外な業務 日刊工業新聞「機械設計」連載
生成AIで得た技術的専門知識の妄信と依存で孤立化する若手技術者
一年に数回であっても何年も続ける
前出の横のつながりを実現するためには継続性が極めて重要です。
月に数時間、ましてや週に数時間のような高頻度では継続することはできないでしょう。
横のつながりを実現するには、低頻度でも長期間続けることが重要です。
技術者育成の観点でいえば、
「年に数回、各半日程度を5年間続ける」
というやり方が一案です。
年に数回とは最低でも半期ごとである2回、
もし許すようであれば四半期ごとの4回のイメージです。
各回の時間について、1、2時間では短い一方、終日というのは長いだけでなく、
担当業務への影響も出るかもしれません。
そこで推奨したいのは半日です。
できれば午後がいいでしょう。
さらに言えば週末の金曜日を推奨します。
金曜日の午後であれば社内学校が終わった後、
有志で食事に行くという交流行動へのハードルが下がります。
能動的な関係性を構築するには最低でも5年は必要であると考えます。
欲を言えば、10年程度は続けたいところです。
若手技術者を抜擢して講師にする
この観点が抜けていることが多いと感じます。
若手技術者を伸ばしたいのであれば、
当人を講師に抜擢するという仕掛けが必要です。
もちろん誰でもいいというわけではありませんが、
一つのやり方を示します。
何かしらの課題をやらせます。
当社であれば技術報告書の作成演習や、
技術プレゼンテーションの規格作成演習を課題として与えることが多いです。
講師の方は熱心に取り組み、
また内容的にできていると感じた若手技術者を見出します。
この若手技術者に対し、できていない他の技術者への助言と指導を依頼するのです。
教えるというのは習うよりも何倍も得るものが多い
技術者育成において最も重要なのは、
いかに学んだことを当人の血肉にさせるかです。
社内学校においてどのようなことを教えるかは企業によりますが、
すぐにでも実際の技術業務で実行できるようになってほしい内容のものに違いありません。
このような実践力を身につけるにあたって最短なのは、
「習ったことを別の技術者に教えること」
です。
きちんと教えるには、教える側は本来習う側の何倍も理解し、
経験を蓄積していなければなりません。
そのくらい教えるということは”高度”なことです。
同時にこのような高度なことにチャレンジすることにより、
習う側として分かったことが実はわかっていなかった、
もしくはより理解が深まったということが起こるのです。
この体験を若手技術者にさせることは、
社内学校の価値が彼ら、彼女らにとって、
大変有意義なものになるに違いありません。
最後に
社内学校を通じた若手技術者の教育は今後さらに増えるかもしれません。
外部研修ももちろん重要ですが、
不足するOJTを通じた教育を補完するということを考慮すると、
社内のリソースでそのような取り組みを行う方が妥当と言えます。
若手技術者を社内学校での教育で育成するにあたっては、
横のつながりの強化、長期間継続、そして習うだけでなく教える側に回るという3点を忘れずに、
教育プランを構築する柔軟性が企業側に求められます。
ご参考になれば幸いです。
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