パワハラ と技術者育成

公開日: 2020年1月9日 | 最終更新日: 2020年1月9日

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 パワハラ と育成の関係とは

 

ここ最近、 パワハラ に関するニュースが多くなっています。

 

 

1カ月ほど前にも将来有望な新人技術者が自ら命を絶つという痛ましいニュースがでています。

 

 

ここで今一度、技術者育成とパワハラについて考えてみたいと思います。

 

 

 

パワハラ とは

 

パワハラ 、いわゆるパワーハラスメントを英語( power harassment )で調べると、こちらのページに行きつきました。

 

 

造語であって、本当の英語ではないようです。

 

 

しかし上記のページを見てみるとわかるように、パワハラに該当する事例は世界各国で見られる事象とのこと。

 

 

実際に私が北米で仕事をしていた時も、北米の大手企業でもパワハラのようなものがあると現地若手社員が愚痴をこぼしていました。

 

 

では日本における定義はどのようになるのでしょうか。一例として、厚生労働省におけるパワハラの定義として以下のように書かれています。

 

 

職場のパワーハラスメントとは、「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」と定義をしました。

 

 

この定義においては、

 

 

・上司から部下に対するものに限られず、職務上の地位や人間関係といった「職場内での優位性」を背景にする行為が該当すること
・業務上必要な指示や注意・指導が行われている場合には該当せず、「業務の適正な範囲」を超える行為が該当すること

 

 

を明確にしています。

 

 

※引用元: 職場のパワーハラスメントについて(厚生労働省)

 

 

職務上の地位や人間関係といった職場内の優位性をよりどころにした肉体的、精神的苦痛というのは元々のパワハラの定義でもあった内容です。

 

 

その一方で、

 

 

・業務上必要な指示や注意・指導が行われている場合には該当せず、「業務の適正な範囲」を超える行為が該当すること

 

 

という記述は、業務を進めるためには指示や指導を行わなくてはいけないと書かれています。行政の方が試行錯誤した形跡が認められます。

 

 

つまり技術者の指導は上記でいう「業務の適正な範囲」であればパワハラには該当しないとなります。ただ、現場での話となるとこのような抽象的な話ではなかなか実効性が無いと感じる方が多いかもしれません。

 

 

そこで、これまでの技術者育成の経験も踏まえ、マネジメント側と若手技術者側という両面から技術者育成を見ることで、パワハラにならないための対策を考えてみたいと思います。

 

 

 

 

技術者育成における若手技術者の本音と必要な姿勢

 

まずは若手技術者の目線から見てみます。

 

若手技術者の多くは「専門性至上主義」を有しています。

 

 

そのため、知識習得に異常なまでの執着をする一方で、実践には二の足を踏むことが非常に多い。

 

 

若手技術者にとっての実践経験の重要性は以下の所でも述べたことがあります。

 

※ 優秀な若手技術者の実戦経験は一生の糧

 

 

実用性のある知恵をみにつけるには実践経験が最重要なのですが、知識が不足している、経験が不足しているという理由をつけて避ける傾向にあります。

 

これは若手技術者が無意識に避けている部分が多いですが、マネジメントが若手技術者の実務力を危惧してあえてチャンスを与えていないというケースもあります。

 

 

そして何より、

 

 

「わからない、知らないということを認めたくない」

 

 

という技術者固有の思考回路があります。プライドといってもいいかもしれません。

 

 

そのため、マネジメントからの指示事項や指導内容を理解していなくても、理解したように振る舞うケースが多く、実際はよくわかっていないこともあります。

 

 

知らないと質問することは自身のプライドが許さないため、そのままとなります。

 

 

そして後になって実際は指示事項や指導内容がわかっていなかった、誤解していたということがわかり、マネジメントから注意を受けることになります。

 

 

この注意はマネジメントから見ると

 

 

「わかるといったのになぜできていないんだ」

 

 

と映るため、必要以上に高圧的になってしまうこともあり、それが結果としてパワハラと若手技術者に認識されます。

 

 

これが何度も繰り返されると、場合によっては冒頭に紹介したような度が過ぎた言動というのがマネジメントから発生するということも否定できません。

 

 

マネジメントとしては期待して色々時間もかけて指導や指示をするという時間と労力をかけ、若手技術者は本来それをきちんと理解して着実に業務を間に進められる可能性があるのに、若手技術者のプライドという見えない壁によってパワハラになってしまうのです。

 

 

技術者育成においてこれほど不幸なことはありません。

 

 

そのため、

 

 

若手技術者に求められる姿勢としては、知らない、わからないといえるようになる

 

 

事が第一歩であり、その上で

 

 

わからないことは自ら調べ、できる限り実務を経験するという積極性

 

 

が求められていると理解することが重要です。

 

 

 

 

技術者育成におけるマネジメント層の留意点

次にマネジメント側からの視点で見てみます。

 

育成に熱心なマネジメントほど若手技術者から見てパワハラという認識をされることが多いと感じています。

 

 

そのような代表的なマネジメント側の心理が、

 

 

「自分が若いころはもっと大変だった」

 

 

というもの。

 

 

これを言いたい気持ちは痛いほどわかりますが、注意しなくてはいけないのは、

 

 

「当人が思っているほど大変な思いはしていない」

 

 

というケースが極めて多いということです。

 

 

もちろん大変な思いはあったと思いますが、自らの経験は様々な脚色をされ、苦労の部分に下駄を履かせられることは多々あります。

 

 

そのため、自分の頃はこれくらいはされた、言われたというのは、相手にとっては自分が受けた仕打ちよりも重いものになっているということが多々あります。

 

 

そのため、

 

 

「マネジメントは自分の若いころに受けてきた育成・指導経験はひとまず忘れて若手技術者に向き合う」

 

 

ということが技術者育成における指導が、若手技術者からのパワハラと認識されにくくなる第一歩と考えることが最重要です。

 

 

 

 

 

技術者育成とパワハラということについて考える若手技術者の方々やマネジメントの方々にとってご参考になれば幸いです。

 

 

 

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