技術データのグラフ説明の基本中の基本

技術データのグラフには軸・データ属性・主張の3点が必須

 

 

技術者にとってグラフは技術データを視覚的に示すにあたり大変重要なツールです。

 

 

グラフと一言で言っても棒グラフ、折れ線グラフ、散布図、円グラフ、帯グラフ、ヒストグラム等、
様々なグラフがあります。

 

 

 

しかしどのようなグラフを選択したとしても、
技術者がグラフを適切に活用するには、
鉄則ともいえる3つの点に関する説明が必須です。

 

 

 

今回は若手技術者が技術データをグラフ化した際、
是非実践してもらいたい説明の観点について解説します。

 

 

 

 

 

 

説明が不足したグラフはわかりにくい

 

何故グラフに説明が必要なのかについて考えます。

 

以下のHPの冒頭にあるグラフの例を見てください。

 

 

What is a Bar Graph/Bar Diagram?
https://www.geeksforgeeks.org/bar-graph-meaning-types-and-examples/

 

 

 

これは棒グラフの例です。

 

 

このグラフが示すデータについて説明してください、
と言われたらどうでしょうか。

 

 

「説明に必要な情報がグラフ中に書かれていないので説明できない」

 

 

とならないでしょうか。

 

 

 

グラフに必須の説明は、上記の”説明に必要な情報”に該当します。

 

 

 

そのようなことは当たり前だとお感じになる技術者の方々は多いかもしれませんが、

 

「いざ自分がグラフの作成者側になると、グラフの意味がわかっているため説明不足になりがちである」

 

ということが盲点となっている可能性を理解することが重要です。

 

 

 

特に実務経験の浅い若手技術者はこの傾向が顕著であるため、
リーダーや管理職は技術者育成の観点から、
盲点となりがちな”当たり前”をあえて指導する必要があります。

 

 

 

 

 

グラフを見る側の人間に理解させるのに不可欠な3つの情報

 

技術データの視覚化を目的に作成したグラフを見た人に理解してもらうために必要な情報は、
大きく分けて以下の3点です。

 

 

1. 横軸と縦軸の単位を含む意味

 

2. 表示されている技術データの種類

 

3. グラフで主張したい事

 

 

 

それぞれについて述べます。

 

 

 

軸の説明はグラフ理解の初期情報

 

上述した例で説明のしようがなかった原因の一つに、
軸に関する情報が何もなかったことが挙げられます。

 

このように軸の説明は不可欠です。

 

 

その一方で若手技術者の中には軸の説明を加筆し忘れる方々もいますが、
先述した通りグラフ作成者である当人はグラフの意味を理解していることが、
当該忘却発生の背景にあります。

 

 

 

縦軸と横軸にそれぞれキャプションをつけ、
もし数値データであれば単位も記載します。

 

 

 

技術報告書中のグラフであれば、

 

 

「図1は○○をグラフ化したものである。縦軸はYY、横軸はXXを示している。」

 

 

と記載し、技術プレゼンテーションであれば同様の内容を最初に口頭説明することが求められます。

 

 

 

表示されているデータが何者なのか明確化

 

グラフ中の技術データで1種類のみの変化を示すとは限らず、
複数水準のデータが重ね書きされる、
または並列で表現されることもあります。

 

 

それ以前の話として、そもそもそのデータは何を示すのかを説明することは必要でしょう。

 

 

 

事例を示します。

 

 

技術報告書中の散布図であれば、

 

「図1中で黒塗りの点で示されるのがAAAのデータの推移であり、白抜きは同BBBのデータである。」

 

という記述をし、技術プレゼンテーションであれば同内容を口頭で補足します。

 

 

 

グラフで主張したいことを端的に述べる

 

技術データをグラフ化したということは、
何かを技術報告書の読者や打ち合わせ出席者に伝えたいはずです。

 

 

これを端的に述べることで、
相手にグラフの内容理解を促進することが可能となります。

 

 

 

例えば技術報告書であれば、

 

「図1のグラフから、保管期間が長くなることに応じて、生成物の濃度が低下することがわかった。」

 

と書き、プレゼンであればこの内容を口頭で述べます。

 

 

 

このような主張を端的に述べることは、
グラフを目にした相手の理解度を高めることに直結します。

 

 

 

主張に対する異論に耳を傾け”議論”する

 

仮に若手技術者がグラフを用いて主張したことについて、
技術報告書の読者や打ち合わせ出席者から異論が出た場合、
全面的に反論する、全面的に従うのではなく、
技術的な議論を通じた着地点を目指す必要性について加筆しておきます。

 

 

主張を必ずしも通す、または曲げる必要はないのです。

 

 

 

 

 

グラフに関する3つの重要説明の意識を高めることによる効果

 

ご紹介したグラフに関する3つの重要説明ができることのメリットは、
グラフ作成という業務に良い効果をもたらします。

 

 

それが、

 

「そのグラフを何故作成したのか、グラフの表記方法は適切かの確認ができる」

 

ことです。

 

 

 

軸の説明をしようとすれば、
入力するデータを何にするのか、その単位をどうするかという確認が必要となります。

 

 

グラフ中にプロットされるデータを説明しようとすれば、
グラフを構成する技術データに過不足が無いかを意識することになります。

 

 

そしてグラフで主張したいことを考えることは、
グラフを作成した目的を振り返ることになるでしょう。

 

 

 

 

これらの確認作業は、
若手技術者が技術業務を推進するにあたって大変重要であり、
技術データを俯瞰的に考察するスキルを養うことにつながっていきます。

 

 

 

 

 

まとめ

 

技術データのグラフによる視覚化は、
技術者であれば必ず持っておきたい思考パターンの一つです。

 

 

そしてグラフを有効に活用するには、
グラフ軸、プロットデータ、並びに主張概要の説明をすることが肝要です。

 

 

 

グラフを作成した時点で上記の必要性を理解できれば、
結果として若手技術者の技術データの考察力を高めることになります。

 

 

 

若手技術者育成の中に是非取り入れていただきたい観点です。

 

 

 

 

 

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