若手技術者にどのような仕事をチャレンジさせるか

 

若手技術者のチャレンジ業務はマネジメントが挽回できるものから

 

 

若手技術者にとって求められることは、

 

「組織の即戦力になること」

 

です。

 

 

 

そして若手技術者が即戦力になるにあたって最重要なのは、

 

「実践経験」

 

です。

 

 

 

 

そしてこの実践経験が、

 

「若手技術者にとってチャレンジ」

 

と感じることが何より重要です。

 

 

 

今回は、若手技術者にチャレンジをさせようとする場合、
どのような仕事をさせればいいかということについて考えてみます。

 

 

 

 

 

チャレンジさせたいのであればマネジメントは口を出さないのが前提

 

まず、全体を通じて冒頭理解すべきは、
もし若手技術者にチャレンジをさせたいと考えているのであれば、

 

「マネジメントの基本姿勢は見守り、必要に応じてフォローする」

 

ということに徹底し、

 

「若手技術者が求めていない時や、助言を求めてきた以上のことは口を出さない」

 

ということが肝要です。

 

 

ましてや、

 

「手を出す」

 

というのは”もってのほか”ということをよく理解することが出発点です。

 

 

 

特に初期段階におけるチャレンジというのは、
マネジメントにとって「我慢比べ」の要素が強いのです。

 

 

 

本点をまずご理解いただいた上で、
若手技術者にチャレンジさせる仕事について考えてみたいと思います。

 

 

 

 

 

問題の発生や結果的に失敗になってもマネジメントが挽回できる仕事が第一段階

 

結論から先に言うと、若手技術者にチャレンジさせるというのは2つの段階があります。

 

その第一段階としては、

 

 

「若手技術者に担当させたことで問題が発生、または結果的に失敗してもマネジメントが挽回できる社外の仕事」

 

 

というのが妥当です。

 

 

 

マネジメントや中堅技術者にとっての当たり前の仕事も若手技術者にとってチャレンジとなる

 

このようなことを述べると、

 

「中堅技術者が当たり前にやっているような仕事になる」

 

ということになるでしょう。

 

 

 

しかし、中堅技術者が当たり前にやっている仕事も若手技術者にとっては未知の仕事。

 

 

それに取り組むだけで、十分チャレンジと映ります。

 

 

 

更に相手がいることが重要で、

 

「その相手が社内向けではなく、社外である」

 

というのがポイントです。

 

 

 

これは、社外の方々(主には技術者や営業担当)だと、
感情的なぶつかり合いが起こりにくいため、
生じる様々なことに対して若手技術者が理解しやすいということがあります。

 

 

・関連コラム

若手技術者がOJTで育たない

 

 

 

 

 

仕事を任せる前に一度見本を見せ、業務の背景と目的、最終到達点を活字で示す

 

少し具体的な話に入っていきます。

 

 

既存の顧客のフォロー、すでに走り始め安定期に入っている共同研究開発テーマ、
技術テーマになるか否かがわからない顧客からの問い合わせへの対応業務等、
社外向けでマネジメントが挽回できるような仕事というのは色々あると思います。

 

 

恐らくどのような仕事も経験の浅い若手技術者にとっては、

 

 

「チャレンジ的な業務である」

 

 

と映るでしょう。

 

 

 

実は仕事の業務の中身はあまり重要ではありません。

 

 

それよりも重要なのは、

 

「マネジメントが業務の背景、目的、最終到達点について活字化できるか」

 

です。

 

 

 

何故か。

 

 

 

このような部分を明文化できるのであれば、
誰よりも仕事を任せようとするマネジメントが仕事を俯瞰的に理解し、
先が見えているという裏付けとなるからです。

 

この裏付けができる時点で、

 

「マネジメントには不安が無い」

 

ということになります。

 

 

 

逆にこの辺りをきちんと明文化できない、
思いついたところから口頭で説明する、
最悪のケースでは説明さえしない(できない)という状態では、
チャレンジ的な仕事をマネジメントが任せられるわけがありません。

 

 

 

マネジメントが不安を感じれば毎日のように若手技術者に進捗状況を確認する、
若手技術者が望んでいないにも関わらず、
打合せには毎回同席する、メールの文章を必ず確認する等、

 

 

「業務の監視に近い」

 

 

ようなことをやらないと落ち着かない、
という心理状態になるのではないでしょうか。

 

 

 

以上の通り若手技術者にチャレンジ的な仕事を行わせるには、
まず上記のような準備と、徹底した説明がマネジメント側に求められます。

 

 

そして、若手技術者は活字化されたものがあれば、
後から復習することもできるため軸ブレをしにくくなるのです。

 

 

このようなマネジメント側の準備がポイントといえます。

 

 

 

 

 

チャレンジ的な仕事は期間限定とする

 

もう一つのポイントはチャレンジ的な仕事は期間限定とすることです。

 

1カ月、3カ月、6カ月など、期間は色々とあるかと思いますが、
期限を区切ることが大変重要です。

 

 

日本でも徐々にジョブ型という表現の業務形態が話題になることが増えていますが、
それ以前としてプロジェクト型業務をきちんとマネジメントできないと、
ジョブ型のような長期視点でのマネジメントは難しいと考えます。

 

よって、ひとまずは有限の短期業務、つまりプロジェクト型業務として、
若手技術者に仕事を任せるのです。

 

 

有限とわかっていれば、若手技術者にとっては緊張感が出るうえ、
マネジメントとしても若手技術者がその業務を乗り越えられるか否かについて、
特定期間での判断ができます。

 

 

もちろん業務の状況によっては期間を延長する、
より短期の時点で任せることを辞める等の対応も可能であることを加筆しておきます。

 

 

・関連コラム

 

プロジェクト型技術業務を自社の技術的知見として蓄積するには

 

 

 

 

 

マネジメントは定期的に進捗を確認しながらも、必要以上の口出しはしない

 

当然ながら業務の状況を理解するため、進捗の確認はマネジメントにも必要です。

 

 

これは丁寧に行うことが重要です。

 

 

若手技術者にも要点を抽出の上、的確な報告をする基本スキルを習得させる機会ともなります。

 

 

ここで注意すべきは、

 

「マネジメントからの必要以上の口出し」

 

です。

 

 

 

若手技術者を思ってマネジメントが口を出したくなる事例

 

恐らくですが、マネジメントが若手技術者から進捗報告を受けている中で、

 

・こうやった方が効率がいい

 

・このままいったら失敗する

 

といった印象を受ける部分があるはずです。

 

 

 

もちろん、人命にかかわるような危険、明らかな問題への突進は止めなくてはいけませんが、

 

「明らかな黒ではないグレーは基本的に口を出さずに任せる」

 

ということがマネジメントに求められる姿勢です。

 

 

 

成功だけでなく失敗を含め、

 

 

「若手技術者は身をもって体感しないとチャレンジグな業務経験から学んだことを自らの血肉にできない」

 

 

からです。

 

 

 

既存業務のトレースだけでは若手技術者の成長につなげられない

 

そのためマネジメントの安心する真っ白なやり方しか認めないとなると、

 

 

「その時点でそれはチャレンジではなく、マネジメントのトレース」

 

 

に陥ります。

 

 

 

トレースはいわば、

 

 

「マネジメントの引いたレールの上を走るだけ」

 

 

になるため、チャレンジにはなりません。

 

 

 

 

車線変更や急停止、場合によっては離陸や着陸、
もしかすると進水も必要な環境に若手技術者を置かないと、
チャレンジを通じた即戦力化に必要な本質的なスキルは身につかないのです。

 

 

 

いざとなればマネジメントが挽回できるという保険を設定したのは、
マネジメントの心理的安定を得ることで上記のような安全思考に基づいた、

 

 

「若手技術者に対するレールという軌道整備を行わなければならない」

 

 

という考えに陥らないようにするという観点が基本にあるのです。

 

 

 

 

 

若手技術者のチャレンジへの適性を見るのも重要

 

若手技術者のチャレンジは多くの企業にとっての重大な関心事です。

 

若手技術者のチャレンジは、企業の活力の源泉ともいえるからです。

 

 

しかし、仮にマネジメントが上記の考えを踏まえてチャレンジをやらせようとしても、
なかなか思ったように若手技術者が動かないということもあるでしょう。

 

以下で紹介したような技術者の方々はその代表例です。

 

・技術者にとって回避したい 丸投げ 思考

 

・これは 自分の仕事ではない という言動が若手技術者に見える

 

・べき論 だけを振りかざす経験浅い若手技術者たち

 

残念ながらチャレンジということが大切とわかっても、
それを実行できる若手技術者ばかりではありません。

 

チャレンジグへの適性が無いと判断された場合は、
異なる業務を与えるという柔軟性も必要です。

 

 

しかしその判断はマネジメントの独断で行うのではなく、
あくまで上述のようなチャンスを与えた上で判断すべきです。

 

 

 

 

 

第二段階以降は自社でも経験が無いことを

 

今回、詳細は述べませんが第一段階を突破できた若手技術者には、

 

「自社でも経験が無いような仕事をトライさせる」

 

ということが重要になります。

 

 

いわゆる一般的なチャレンジ的な業務です。

 

 

 

マネジメントに求められる基本姿勢は、第一段階での仕事と概ね同じです。

 

 

しかし第二段階以降はマネジメントにとっても未知の業務となる可能性もあるため、
挽回という保険はありません。

 

 

そのためマネジメントは、しかるべきことに備え

 

「議論を繰り返しながら、若手技術者の頭の整理を助ける」

 

という役割が求められます。

 

 

 

 

しかし、いずれにしてもまずは第一段階の業務を通じたチャレンジを若手技術者に経験させ、
適正を検証すると同時に、業務推進時の強みと課題を明らかにしておくことが、
若手技術者のチャレンジに対するマネジメント側の準備として重要です。

 

 

 

 

 

マスメディアで言われるほど日本企業は保守的ではなく、
チャレンジをする企業が増えています。

 

 

これはベンチャーや中小企業に限らない話になりつつあります。

 

企業規模や企業の歴史だけで物事を語れない時代になっているのです。

 

 

そしてチャレンジという取り組みに適性を有する若手技術者から、
組織のチャレンジ精神の有無を早い段階で判断し、
転職や独立の行動を起こしているのが実情です。

 

 

企業がそのような血気盛んな若手技術者の受け皿になるためには、
マネジメントも減点主義の考えへの固執や社内政治に労力を割くのではなく、
チャレンジをするという社風を醸成するということに協力し、
企業の生き残りに向けた取り組みが不可欠な時代になっていると理解することが重要なのかもしれません。

 

 

 

チャレンジを掲げる企業のご参考になれば幸いです。

 

 

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