若手技術者が指示事項を理解したのかわからない Vol.085

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若手技術者が指示事項を理解したのかわからない

という悩みについて考えてみます。

 

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今日のワンポイントは、

「若手技術者が指示事項を理解したのかわからない」

という時には、

「その指示事項を活字で書かせることで理解したかを確認する」

ということを心がけてください。

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若手技術者に業務指示をしたところ、
本来やってほしいと思ったことからずれた仕事の進め方をしてしまい、
実験のやり直しを指示した。

 

 

若手技術者への業務指導で良くある話です。

 

 

 

 

 

自らの技術的興味に執着を見せる若手技術者

 

例えばある実験をしてデータを取得してほしい、
という指示があったとします。

 

 

ある程度のやり方を指示した上で、
欲しいデータがどのようなものなのか伝えるというケースが多いでしょう。

 

 

化学系であれば原料を購入の上、化合物を合成する。

 

 

機械系であれば、評価体に荷重をかけて変位や破壊を見る、
といったことが代表例です。

 

 

しかしこのような指示に対して、
技術者はある特有の思考を働かせることがあります。

 

 

 

それが、

 

 

「自分の興味のあるところ、わかるところだけにこだわりを見せる」

 

 

ということです。

 

 

指示した側の心理としては、

 

 

「自分が本来やらなくてはいけない仕事のうちの一部を若手技術者にになってもらい、時間捻出したい」

 

 

ということが主背景であることがほとんどで、
若手技術者が何かを理解していること、
そこにこだわりを見せるということについて、
それほど重要視していません。

 

 

もちろん若手技術者の興味を把握し、
それに該当する仕事を行うチャンスを与えるのも大切なマネジメントですが、
まずは指示事項に対して的確なアウトプットを出すという組織業務に貢献できる基礎力をつけることが、
技術者の育成では圧倒的に優先順位が高いのです。

 

 

 

 

専門性至上主義は若手技術者の理解範囲を狭めてしまう

 

話を元に戻しますが、
上記の通り若手技術者は自分がわかるところについて、
特に強いこだわりを見せる傾向があります。

 

この背景にあるのは、

「自分は専門性がある」

という専門性至上主義の考え方です。

 

「知っている」ということが絶対正義と思い込んでいる若手技術者は、
指示事項の中で自分のわかるところについて集中することで、
全体を俯瞰してみるということが苦手なケースが多いのです。

 

結果として、出てきたアウトプットが

「指示した内容に対して不十分である」

という状況になります。

 

上記の状況は若手技術者にとっても不幸であることはもちろんですが、
何より人件費をかけて雇っている企業にとって、
業務効率と若手技術者を指示する側のモチベーションを大きく低下させることとなります。

 

 

 

 

 

活字として書かせることで理解度合いを確認するのは効果的

 

このような状態を打破するために効果的な業務の進め方として、

「その指示事項を活字で書かせることで理解したかを確認する」

というものがあります。

 

 

言葉は話したそばから消えていきます。

このため、上書き、補足が非常にやりやすい。

結果として指示事項がわかっていなくてもわかっているように外から映ることもあります。

しかし、指示事項を活字で書けと言われると、
本当に理解していなければ絶対に書けません。

 

 

技術者の多くが苦手とする論理的思考力の差が最も出るのは、

「自らの理解、考えを活字化する」

ということです。

 

 

新人技術者には手書きで指示事項を書かせるのが必須ですが、
ある程度年数がたった技術者であればソフトやアプリで問題ないでしょう。

 

 

活字化すると上書きされたことはそこから消去されてしまう上、
補足をしようとすると必要以上に文章が長くなり、読む側が

「話が整理できていない」

ということが見えるようになります。

 

 

活字化させるのは指示した直後が最適です。

 

目の前で書かせ、
それを確認した上で、
指示した側の欲しいアウトプットと、
そこに至る経緯がずれていなければ、
若手技術者が誤ったこだわりを見せることも減少します。

さらに言うと活字化したメモは、
若手技術者にとって業務を振り返る確認にも活用できるため、
業務精度を上げるといういい副作用もあるでしょう。

 

若手技術者が指示事項を理解したのかわからない、
ということを感じた場合のご参考になれば幸いです。

 

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