若手技術者とのオンラインコミュニケーションが難しい

公開日: 2022年11月21日 | 最終更新日: 2022年11月20日

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技術者とのオンラインコミュニケーションは短時間、高頻度、技術的話題で進める

 

 

 

 

COVID-19の拡大によって急速に普及したオンラインでのコミュニケーション。

 

 

この手のツールに対する対応力は、年齢に反比例するのは不可避といえます。

 

 

その一方で、いまだに不慣れなリーダーや管理職の方々もいるのではないでしょうか。

 

 

今回は、若手技術者とのオンラインでのコミュニケーションについて考えます。

 

 

 

 

 

ここ数年で更に若手技術者のオンラインへの適応力は高まると予想

 

 

オンラインコミュニケーションツールは技術者にとって今以上に当たり前となる

 

 

 

私自身、最近オンラインで大学の講義を理系学生向けに行いました。

 

この時に感じたのが、理系学生のオンラインコミュニケーションツールへの適応力の高さです。

 

 

大学の講義は対面の時代も含め、7年前から行っています。
オンラインの講義も3年前から導入されました。

 

しかし驚いたのは、昨年と比べ今年の学生のオンラインコミュニケーションツールに対する適応力が明らかに上がったということです。

 

 

20歳前後の学生の方であっても、
COVID-19が当たり前になった後に入学した学生と、
その前の学生で異なると感じたのです。

 

 

 

 

 

カメラオフ、画面オフでも人の話をきちんと理解し、こちらの問いかけに対して準備ができている

 

真っ先に違いとして感じたのが、

 

「オンラインであっても、対面と同様の受講姿勢が取れている」

 

ということです。

 

 

講義は90名程度が受講するため、通信容量の問題もあり基本的にはカメラはオフの状態で進めます。

 

 

対面であっても、オンラインの講義であっても、私はあえて学生に考えさせる疑問を投げかけ、
それに対して回答することに加え、意見を述べさせる構成を採用してきました。

 

 

一昨年、昨年も今年同様オンラインでの講義でしたが、そこでは

 

 

・問いかけても返事がない

 

 

・明らかに講義を聴いておらず、質問内容を再度説明しなくてはいけない

 

 

・話始めると、周りが大きな音(飲食店というよりも、カラオケにいる印象)がなっている

 

 

という学生が散見されました。

 

 

 

しかし、今年は90名の学生が聴講し、その中でランダムに20名近く発言させましたが、問いかけに返事が無かったのは1名だけで、話を聴いていない、背景音が大きいという学生は一人もおらず、自分はマイクが壊れていて発言できないのでチャットで意見を述べさせてほしい、という学生がいたくらいでした。

 

 

 

オンラインでは伝わりにくいかもしれないという細かいニュアンスまで理解し、
それに対して自身の意見を論理的に述べる傾向が強く、
オンラインにもかかわらず学生と討議をすることができました。

 

 

 

もちろん、昨年、一昨年もそのような学生は居ましたが、
今年は明らかに確度が上がった印象です。

 

 

 

 

入学した時からオンラインコミュニケーションツールが当たり前になったことで、
学生がそれらをうまく活用しているといえるのかもしれません。

 

 

 

 

 

オンラインコミュニケーションツールを当たり前と考える学生が技術者として入学することへの備え

 

上記は大学生がその事例となっています。

 

 

高専、高校を卒業した学生の場合は状況が異なるかもしれません。
授業は対面が基本となっている可能性もあるためです。

 

 

しかしオンラインコミュニケーションツールを使いこなす若い技術者が、
今後増えるというという大きな流れは不変であると考えます。

 

 

このようになった際、技術チームのリーダーや管理職も備えなければならないでしょう。

 

 

その一方で、対面でのコミュニケーションを主としてきた、
中年以上のリーダーや管理職にとってやりにくい部分がある可能性もあります。

 

 

 

 

 

 

オンラインコミュニケーションツールを用いた会話では、カメラが使えなくてもやり取りができる準備を

 

オンラインコミュニケーションツールを用いた打ち合わせでは画面共有等をしながら話をすることも多く、
またカメラがうまく起動しないこともあります。

 

 

これらの状況では、相手の表情を読み取ることは難しく、
言葉だけのやり取り、つまり電話と同じような状況になりかねません。

 

 

そのため、顔が見えない、または見えにくい状態でどのようにやり取りをするのかについて、
技術者を先導するリーダーや管理職が準備をすることが求められます。

 

 

 

 

 

オンラインコミュニケーションツールを用いた会話におけるやり取りの精度向上のポイント

 

では、若手技術者とのオンラインコミュニケーションツールを用いたやり取りの精度を高めるにあたり、
どのような事に注意すればいいのでしょうか。

 

 

 

オンラインコミュニケーションツールでのコミュニケーションはできるだけ短い時間で

 

オンラインコミュニケーションツールを使った打ち合わせでは

 

「時間を短くする」

 

というのが鉄則です。

 

 

 

この背景にあるのは、

 

 

「拘束時間を短くすることで、コミュニケーションへのストレスを低減させる」

 

 

ということです。

 

 

 

 

若手技術者が相手の場合に限りませんが、
長時間のコミュニケーションは時間が奪われたという印象を相手に与えることがあります。

 

 

 

特に上司と部下のように、立場や地位に差異があるとよりこの感覚は強くなります。

 

 

若手技術者とリーダーや管理職というのはこの関係に当てはまるでしょう。

 

 

 

上司に該当するリーダーや管理職は議論の必要性を理解した上で話をすることになるため、
仮に長時間の打ち合わせなどでも負担とは感じにくい。

 

 

 

その一方で、部下に当たる若手技術者の多くは「聴く側」になるため、
主として話す側の場合と比べ、ストレスを感じやすいのです。

 

 

 

更に対面と比較して、オンラインコミュニケーションツールを使った場合だと、

 

 

「聴くという行動を止めることも容易」

 

 

になります。対面だと聴いていない、身に入っていないことも話している側から見てわかりやすいですが、オンラインだと情報が制限されるため当然といえます。

 

 

そのため、オンラインコミュニケーションツールで指示や指導を行ったリーダーや管理職は、

 

 

「あれだけ説明したのに、理解していない/伝わっていない」

 

 

と印象を受けることも多くなります。

 

 

 

 

貴重な時間を割いて話をしたリーダーや管理職の観点から見ると、割に合わない仕事となりかねません。

 

 

ただ、若手技術者が相手の場合「聴くこと」が主であると考えれば、
負担のかかっている若手技術者を頭ごなしに叱るのも筋違いとなる恐れがあります。

 

 

 

オンラインコミュニケーションツールを用いた会話や打ち合わせは時間よりも頻度を高めることが重要

 

これまで述べたようにオンラインコミュニケーションツールには限界があります。

 

 

しかし、仮に感染症を世界が克服したとしても、
完全にその前の世界に戻ることは無いのも事実です。

 

 

そうであれば、このオンラインコミュニケーションツールをどのように活用するのかということを、
技術チームのリーダーや管理職も真剣に考えることが求められます。

 

 

オンラインコミュニケーションツールを用いた会話や打ち合わせで大切なのは、

 

 

「一回一回の時間は短く、しかし頻度を上げる」

 

 

ということです。

 

 

 

オンラインコミュニケーションツールを使うといっても人は人です。

 

 

コミュニケーションで最重要なのは信頼の構築。

 

 

この対策としてコミュニケーションの頻度を上げるという鉄則は、
オンラインでも同じなのです。

 

 

短時間で良いので、ある程度の頻度でコミュニケーションをとるという仕組みを作ることが第一歩です。

 

 

 

話題の中に技術的な内容を織り交ぜる

 

そしてもう一つのポイントが、

 

「話題の中に技術的な内容を含めるようにする」

 

ということです。

 

 

リーダーや管理職が若手技術者よりも技術的な知見が多いということを必須にする必要はありません。

 

 

それよりも、

 

 

「技術的な話題について、若手技術者に話させる」

 

 

ということを話題の中に取り込んでいくということが重要です。

 

 

 

専門性至上主義を掲げる若手技術者は、
技術的な話題について会話をすることを好む傾向にあります。

 

 

話題としては、

 

 

・若手技術者が技術的に得意と自負するテーマは何かと問いかける/その関連内容について話をさせる

 

 

・現在の技術的な業務での悩みや課題があるかを聴く

 

 

・昨今の技術トレンドに関する意見を述べさせる/(必要に応じて)当該トレンドに関する調査を行わせる指示を出す

 

 

といったものが一例です。

 

 

 

上記の話をするにあたり、リーダーや管理職が技術のすべてを知っている必要はありません。

 

 

相手に話をさせ、必要であれば技術的な相談をできる別の部下や、
別の部署の技術者を紹介するということでも構いません。

 

 

 

 

何より大切なのは、

 

 

「若手技術者が技術的な内容を能動的に話す」

 

 

ということを、オンラインコミュニケーションツールで達成することです。

 

 

 

 

 

このような内容を話題とすることで、
若手技術者は聴くだけではなく

 

 

「自分が主として話をする」

 

 

 

という場がオンラインでもできるのだ、と感じるようになるはずです。

 

 

 

この意識が芽生えれば、
リーダーや管理職とのオンラインコミュニケーションツールを用いた会話や打ち合わせも、
若手技術者自身にとって言葉をキャッチボールするフィールドと感じられるようになるはずです。

 

 

 

 

オンラインコミュニケーションツールを若手技術者との会話の媒体として業務で活用するには、
上記のようなリーダーや管理職の丁寧な歩み寄りが不可欠なのです。

 

 

 

 

 

 

技術者の仕事は現場での実験、評価、作業が主となる職種も多く、
対面での仕事も多いかもしれません。

 

 

 

 

しかし、業務の一部にはオンラインコミュニケーションツールを活用するということは、
今後も消えることはないと思います。

 

 

これが社外となるとよりその傾向は強くなっていくでしょう。

 

 

 

リーダーや管理職は、

 

 

・自分たちは対面のコミュニケーションで育ってきた。それしか認めない。

 

 

 

・オンラインコミュニケーションツールは対面でのそれには及ばない。

 

 

 

といった主観的な判断基準を設けて白黒をつけるのではなく、

 

 

 

「どうすれば、若手技術者との会話にオンラインコミュニケーションツールを活用できるのか」

 

 

 

ということを念頭に、考えることが重要になります。

 

 

 

まもなく入社するオンラインコミュニケーションツールを当たり前と考える新人の技術者に対する、
備えの一つとしてご参考にしていただければ幸いです。

 

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