他の意見否定を自己の考えとして主張する若手技術者

公開日: 2026年9月10日 | 最終更新日: 2026年9月10日

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他の意見否定を自己の考えとして主張する若手技術者

 

若手技術者は企業に入って通用しないと実感し、自信を無くす場合が多いといえます。
しかし中にはいい意味での鈍感力により自信をもち、主張を繰り返す若手技術者もいます。

 

 

今回はこのような若手技術者を成長曲線に載せるため、
リーダーや管理職は初期段階でどう対応すべきかについて、
技術者育成の観点から考えます。

 

 

 

 

 

主張をする若手技術者の心理

 

思い返すと私自身もどちらかというと若手の頃は主張をする側の人間だったかもしれません。

 

 

会社に入る前の研究室時代は外部からいらっしゃった企業の外部講師に徹底した質問を投げかけ、
また入社した初期のころは自分はこう考える、こう思うといったことを何度も主張した記憶もあります。

 

 

どちらも結局のところは卒業や雇用という伝家の宝刀の存在により、
最後は指導教官や上司に押し切られてしまいましたが、
主張をする若手技術者も一定数いるのも事実です。

 

 

 

自分の考えを持っているという姿勢を示すことで存在価値を高めたい

 

前出の態度を示す若手技術者が仮に私と類似した考えである場合、その深層心理にあるのは、

 

「自分の存在価値を高めたい」

 

という承認欲求です。

 

 

 

例えば技術業務に関し、
中堅/ベテラン技術者やリーダーや管理職の想像を超えるいいアイデアを出せれば、
それは若手技術者にとって何よりの承認欲求を満たすイベントとなるに違いありません。

 

 

 

しかし実業務経験も浅い若手技術者がそのようなアウトプットを出すことは容易ではありません。

 

 

 

ここで若手技術者が思いつくであろう承認欲求を満たす手段のひとつが、

 

「自分は自分の考えを持っている」

 

と意思表示することです。

 

 

 

自分の考えを示すことが重要という教育の影響もあってか、
私が若手だった時代よりもこのような思考が強い若手技術者が増えたと感じています。

 

このこと自体は決して悪いことではない、
と私個人的には考えています。

 

 

 

意見の否定を繰り返すことも結局同じ

 

ゼロベースで自分の意見を言えれば大したものですが、
それができない若手技術者がとるであろう言動があります。

 

 

それは、

 

「出てきた意見に対する否定」

 

です。

 

 

 

若手技術者にとって出てきた意見を否定することは、
自分の意見を示すことと同等と若手技術者が感じているのが背景にあるようです。

 

 

 

否定は意見を創出するよりもずっと楽

 

何故自分の意見を創出しようとするにあたり、
出てきた意見に対する否定というアクションを取るのでしょうか。

 

一言でいえば、

 

「本当の意味で自分の意見を創出するより、
出てきた意見を否定する方がずっと楽だから」

 

です。

 

 

左と言えば”右”、上と言えば”下”と言えばいいだけです。

 

小学生どころか、未就学児でもできることです。

 

若手技術者はここにもっともらしい理由を肉付けしながら、
単なる否定があたかも自分の意見と錯覚しながら発言をするでしょう。

 

 

ただ多くの意見は結局のところ出てきたことの逆を言っているだけに過ぎないのです。

 

それがもし違うと思うのであれば、
誰よりも最初に自分の意見を述べることを実践すべきでしょう。

 

他の意見の否定よりもずっと難しいと感じるに違いありません。

 

 

 

他の技術者から出てくる発言に乗ることは大きなずれのリスクが小さい

 

もう一つ若手技術者が他の意見の否定という形で発言をする理由は、

 

「意見が出てきた時点で、それは議論から大きくずれているリスクは少ない」

 

ことにあります。

 

 

 

若手技術者は場違いな発言をすることを恐れます。

 

ずれたことを言えば、自分が無知と思われるのではないかと考えるためです。

 

 

しかし他の技術者の意見に乗るだけであれば、
そのようなリスクは低減できます。

 

さらに万が一ずれていれば、それは最初に発言した技術者がずれていたせいで、
自分は被害者に過ぎないと自己保身をすることも可能です。

 

 

自信があるといっても実務経験が無い状態でそれが本物であるはずはなく、
やはり若手技術者の基本は自尊心が低く、
傷つくことを恐れているのではないでしょうか。

 

 

 

 

 

仮に他の意見の否定であっても主張する若手技術者は育成しやすい

 

ここまで他の意見の否定という形で意見を述べる若手技術者の心理を述べてきました。

 

 

すべてというわけではありませんが、
このように主張をする、すなわち何かしらの発言をする若手技術者は、
あまり話をしないタイプよりも技術者育成の対象にしやすい傾向にあります。

 

発言が一定以上あるということは、
育成を行うリーダーや管理職側に引き込む手段が存在することがその理由です。

 

 

これを念頭にリーダーや管理職が若手技術者を成長曲線に載せるため、
上記のような若手技術者の主張に対してどう対応すべきか考えます。

 

 

 

 

 

まずは若手技術者の主張に耳を傾ける

 

何はともあれ、仮に他の意見の否定だったとしても、

 

 

  • 今はそういうことを話しているのではない
  • その意見は違うと思う
  • お前に発言は求めていない

 

 

といった、若手技術者の主張を押さえつける、突き放す発言や態度を示さないことが重要です。

 

 

このような発言をリーダーや管理職がしてしまうと、
そこで若手技術者の話は終わってしまいます。

 

 

中にはそれでもくらいついてこようとする若手技術者もいるかもしれませんが、長い目で見れば

 

「発言をしても聴いてもらえない」

 

という心理が芽生え、まず心が離れていくでしょう。

 

 

心理的な距離感の発生は育成以前に信頼関係構築の障害となります。

 

 

前出の通り、若手技術者の承認欲求による発言だと考えれば傾聴することはやぶさかではないのです。

 

 

 

 

 

他の技術者も入れながら若手技術者の発言の妥当性を議論してみる

 

傾聴した後は、議論する対象とすることが肝要です。

 

リーダーや管理職から見て価値のない発言だったとしてもです。

 

 

議論の対象になるという時点で、

 

「若手技術者にとっては自分の意見が議論対象となった」

 

という承認欲求が満たされることになります。
これが重要です。

 

 

例えば何かの意見に対する否定を若手技術者が述べた場合、

 

「何故そう考えたのか、もう少し説明できるか」

 

とリーダーや管理職から若手技術者に話を振り、若手技術者の発言に対し、

 

「他のメンバーから何か意見は無いか」

 

と意見を述べさせます。最終的には若手技術者の意見の妥当性について、議論を何かしらの形で収束させれば十分です。

 

 

結果的に若手技術者の意見が正しくないという結果でも問題ありません。

 

議論の対象となったという事実こそが、
若手技術者の求める承認欲求への必要条件なのです。

 

 

 

 

 

仮に若手技術者の言い分に一理あった場合はそれを採用する

 

これは絶対ではありませんが、若手技術者の意見の中には妥当なものが含まれることもあります。

 

 

その場合は前出の議論を行ったうえで、

 

「小さいところからまずは受け入れる」

 

ことをリーダーや管理職は意識してください。

 

 

 

受け入れても入れなくても良いというレベルであれば、
まずは一部でも受け入れるといった柔軟性がリーダーや管理職に求められます。

 

 

 

若手技術者にとっては、このような出来事こそ承認欲求が満たされることに直結します。

 

 

 

技術のチームミーティングの報告書フォーマットの一部の修正といった、
技術に直接関わらない部分でもいいのです。

 

「自分の意見で何かが変わった」

 

と思わせることこそが重要なのです。

 

 

 

 

 

技術者育成の観点で期待される効果

 

今回ご紹介したような取り組みで期待されるのが、

 

「自らの意見を述べるための心理的安全性の担保」

 

に加え、

 

「リーダーや管理職の指示に基づき動くためのモチベーション向上」

 

です。

 

 

特に後者が重要です。

 

 

 

承認欲求不満に陥っている若手技術者は自分の存在価値を見出すために必死になります。

 

 

若手技術者本人の意識は、

 

「自分の意見を主張して、存在価値を見出そう」

 

ということが最優先となるのが通常です。

 

 

 

この状態では、技術業務においてリーダーや管理職の指示に基づき、
適切に業務を遂行するための集中力が欠けることになります。

 

意識が存在価値の創出に向いているからです。

 

 

そうするとリーダーや管理職が期待する、
指示に基づいて目前業務を遂行するという基本姿勢の中の基本が不十分な状態となり、
技術者育成で最重要の実践経験を積む機会を失うことになりかねません。

 

 

リーダーや管理職の指示に従い、
目前業務に集中するための心理的余裕を与えることが、
今回ご紹介した対応に関する最大の効果といえます。

 

 

 

 

 

最後に

 

私は若手技術者の頃、どちらかといえば意見を色々と述べようとする方でしたが、
特に専門外の企業に転職した後は内容が分からないためうまく意見も言えず、
数少ない意見を言える場面でも取り合ってもらえなかった記憶があります。

 

 

自分自身は運のいいことに異なる企業との共同開発プロジェクトのメンバーになったため、
社外の人と仕事をする方が多くなったためその弊害は大きくありませんでしたが、
もしそのまま社内という狭い世界にいたら今の私はいなかったかもしれません。

 

 

良くも悪くも上司の理解の範囲でしか成長できなかったからです。

 

恐らく似たような気持ちを持っている若手技術者の方もいると思います。

 

一方でリーダーや管理職という立場から見ると、
的外れな意見や無駄な主張に関わる時間的余裕が無いのが事実でしょう。

 

 

 

若手技術者に求められるのははっきり言ってしまえば、
まずは指示通りに動き、求められた役割で業務を完遂させることです。

 

意見を言う、主張するというのはそれができた後です。

 

しかし承認欲求不満という心理状態が続くことは、
そのような然るべき動きにとって悪影響が大きい。

 

 

だからこそ今回紹介したような対応が必要となります。

 

 

ご参考になれば幸いです。

 

 

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