若手技術者の本音と建て前

本音と建て前

成果を欲しがる若手技術者は多いのに、実際はなかなか育ってこない。


そんな悩みを抱えていませんか。

 


実は、この悩みは非常に多くの企業で共通の悩みです。

 

 

平均以上のモチベーションのある若手技術者のほとんどは、口をそろえて、

 

「成果が欲しい」

 

といいます。

 


これはこれで素晴らしいですね。

 

 

ところがこのような建前を言っている一方で、本音を聴きだしてみると、

 


「自分は何のスキルも無くて不安だ」


「自分よりも年下の人間は活躍をしているので焦る」

 


といった一種の焦燥感を口に出します。

 

 


そして、最も典型的な若手技術者の本音、それは、

 

「成果が欲しいと思っても、実際その現場になると逃げたくなる」

 

という「逃げの姿勢」です。

 

 


成果を欲しがる若手技術者のほとんどは、実際に前線でのチャンスをつかみかけると、


「いや、自分にはとても…..」


といって及び腰になってしまうのです。

 


口が達者な若手技術者ほど、意外にも本音部分は「臆病」です。

 

 

この「若手技術者は基本的に臆病である」という前提を理解しておくことは、若手技術者の人材育成では大切です。

 

 

最も大きな問題は、この臆病ゆえ自らひいてしまう線をどのようにして飛び越えさせるか、という所にあります。

 

若手技術者が引いてしまう線は、実戦経験を積める境界線よりもはるか手前に引いてしまうため、彼ら、彼女らのいうことをそのまま尊重していてはなかなか育ってきません。

 


やはり、成長への最短距離は実戦経験です。

 


一般的な技術者は、この線を若手に飛び越えさせるために徹底的に叱ります。

 


「成果が欲しいと言っていた割にはそんなものかよ」


「ここでその一線を飛び越えられなかったら一生使い物にならないぞ」

 

そんな挑発や威嚇に近いことを言うのではないでしょうか。

 

最後の最後はこのような話は大切です。

 

しかし、このアプローチでは若手技術者からの必要以上の反感をかったり、場合によっては心の異常を訴えるといったことにもなりかねません。

 

 

ここで若手の心を動かす3つの大事な点をご紹介します。


1.若手技術者を信用していると伝える


2.本人に最終判断は任せる、という選択の余地を残す


3.上司がお願いします、と頭を下げる

 

 


1.若手技術者を信用していると伝える

 

上述したように、若手技術者の最大のネックは

 

「自信が無い」

 

ということです。


これに対して、上司や先輩が


「お前ならできるからやってみろ」


と声をかけてあげることで勇気が湧いてきます。


この勇気こそ、踏み出せそうで踏み出せない一歩を出させる一つの推進力となります。

 

 

2.本人に最終判断は任せる、という選択の余地を残す

 

「やらされた」

 

という印象を絶対に与えてはいけません。


業務命令で動かすべき時も当然ありますが、それは最小限にすべきです。


技術者は「やらされた」という感覚を根に持つ傾向があります。


最後は、上司や先輩の思惑の方向に誘導したとしても、

 

「最終判断はお前に任せる」

 

と声をかけ、自主的に自分で選択をしたんだ、と若手技術者に認識させることがとても大切です。


この判断させるというのは、技術者育成の根幹である、

 

「自主性」

 

の向上にもつながってきます。

 

「やらされた」のではなく、最後は「自分で決めた」という印象を必ず若手技術者に残すようにしてください。

 

 

 

3.上司がお願いします、と頭を下げる

 

実際に頭を下げる必要はありません。


あくまで、

 

「お前の力が必要なのだ」

 

というメッセージとして、「お前にお願いしたい」と伝えることも重要です。


これは、若手技術者から見れば、

 

「自分でなくてはだめなのだ」

 

という自意識を持たせることにつながり、自分に対する自信をつけさせる意味があります。


得てして指導者層にいる技術者は部下や後輩に「お願いする」のが不得意な傾向があります。


この指導者のプライドも若手技術者の人材育成にとって害となる、ということを示す一例と言えます。

 

 


いかがでしたでしょうか。

 

若手技術者の本音の部分の弱さをフォローしながら、建前を達成するためのおぜん立てをする。

 

初めは「ここまでやらなくてはいけないのか」と指導者の技術者の方々も思うようですが、最終的にはこれが若手技術者の自主性と実行力をつけさせる最短距離である、ということを納得いただいています。

 

是非、若手技術者育成の具体的手法の一つとして実行していただきたい内容です。

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