若手技術者の育成の第一歩目に何をすればいいのかわからない Vol.084

若手技術者育成の第一歩目は指示通りのことができることを徹底すること

 

4月になり、各社、いよいよ新人技術者が入ってきたと思います。

 

期待に胸膨らませる新人は将来的な企業の生き残りの大切な原資であり、
大切にしながらも即戦力になるよう育成していかなくてはならないでしょう。

 

このような入社したての新人技術者の育成を考える時、

「新人技術者の育成の最優先事項は何か」

ということについて即答できるようにした状態で受け入れる、
ということが重要です。

 

各社色々な考え方があると思います。

– 理系学生として学んできた専門性を生かし、自社でその力を発揮してほしい

自社のサポートしている企業の実績から言うと、
上記のような考えを最優先とする企業が多いという印象です。

 

もちろん、新人技術者育成全体という観点でこれは間違っていません。

しかし、新人技術者の育成において「最優先」かというと、
それは違うというのが当社の考えです。

 

新人技術者に最も求められること。

それは、

「言われたことを指示通りにやってもらう」

ということです。

 

これは、企業組織の戦力になるための最優先事項であり、
これができない人材は組織に貢献できません。

 

中には、

「そのような上意下達の文化は絶対に納得できない」

という新人技術者もいるでしょう。

 

特に、大手企業に入る社員の一部にそのような考え方いると感じます。

実はこのような方の中には、
稀に技術者として非常に素晴らしい力を発揮する場合があります。

 

しかし、その前提は、

「自らの信念に基づき、その信念を具現化するためリスクをとって事業を始める」

という

「徹底した当事者意識」

という覚悟があるということです。

 

企業という資金的、雇用的、補償的に守られていることを前提として自己主張するのは、
あまりにも無責任です。

 

新人とはいえ、組織になじめないということであれば、
そのくらいの覚悟が居るのです。

 

組織という枠を外れれば、
新人でもベテランでも同じフィールドになりますので、
至極当然のことです。

 

 

話を元に戻します。

では何故言われたことをきちんとやるということが、
新人技術者に必要なのでしょうか。

 

それは、新人技術者のほぼ100%が意識的、または無意識にとらわれている、

「専門性至上主義」

に傾向しすぎないという布石だから、というのが答えになります。

 

日本の教育体系における理系教育では、

「知っていることこそ正義」

という

「専門性至上主義」

を助長する傾向があります。

 

これは、知らないことは調べればいい、
という実際の技術業務とは異なり、

「調べる手段が無い状況で、与えられた課題に答えが出せるのか」

という教育の基本思想が刷り込まれていることがその背景にあると考えます。

 

そのため、

「自分が大学で学んできたことを生かせないと意味がない」

という思考になりがちです。

 

しかしながら上述の通り、
企業というのは組織です。

組織において最も大切な事。

それは、専門的なことを知っているではなく、

「周りの人物の信頼を獲得する」

ということなのです。

 

教科書や閉鎖された環境で学んだこと、やってきたことは、
企業組織で何年、場合によっては何十年も蓄積してきたものと比較すれば、
その強靭さは比較になりません。

 

そのような本当の意味での専門性は、
実業務を通じ、または上司や先輩から学びながら習得すれば十分です。

それにより新人技術者が組織で達成したいのが、

「組織の上層(上司、先輩)の時間を捻出する」

ということです。

 

これにより、組織上層との信頼関係が構築され、
結果として新人技術者は徐々に責任のある仕事を任せてもらえるようになります。

このような仕事こそが、新人技術者の求める、

「企業組織に貢献する、そして自らの成果をあげるための基本となる専門性習得への近道」

となるのです。

 

新人技術者の育成には色々考えるべきことが多くなると思いますが、

「何が最優先なのか」

ということは組織として統一見解をもち、
ぶれない姿勢で技術者の人材育成に取り組むことが肝要です。

 

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