わからない としか言わない技術者

 

 

無知を武器にする

 

 

 

前回の記事では、「わからないと言えない技術者」を紹介しました。

本記事ではその対極にいる、

「わからない」としか言わない技術者

についての育成方法を考えてみたいと思います。

 

「わからない」と言えない技術者は、ベースのモチベーションが高い場合が多いため、
比較的育成がやりやすい傾向があります。

成長したいという根本的な向上心を持っている場合が多いからです。

 

ところが、若手技術者の中には、

– 私が入社前のことなので知りません

– 他の人のやったことなのでわかりません

– わかる人にやっていただければいいと思います

といったことを連呼する人たちがいます。

 

これらの若手技術者の心理的な部分としては、

– 自分でやりきったという成果が欲しいので、他の人の仕事はやりたくない

というものから、

– 楽をして社会人生活を過ごしたい

というものまで様々です。

 

いずれにしても、「わからない」という言葉で仕事をやらない若手技術者の育成は難しい場合が多いです。

 

人材育成においての最低条件は、向上心というモチベーションをもっているというところなので、「わからない」で逃げ回る若手技術者は可能な限り、

採用の時点できちんと選別する

ということが最も重要です。

 

それでも選別しきれずに採用されて、配属された後に、「わからない」を連呼する若手技術者の育成をしなければならない場合、どうしたらいいのでしょうか。

 

 

この様な場合に効果的な育成方法の一つとして、

「技術者指導者層が見本を見せる」

というものがあります。

 

例えば、仕事に対してやる気を出してほしい、と思うのであれば、その技術者指導者本人が最もやる気を見せて仕事に取り組むべきであり、報告書を早く出してほしいと思うのであれば、だれよりも技術者指導者が報告書を早く回覧するのです。

部下というのは上の人のことをよく見ています。

 

若手技術者が、あの課長さんは、部長さんは、という小言を言っているのを人づてで聞いた事はありませんか?

これを応用し、その人に「こうなってもらいたい」という日々の姿勢やそれに伴う実績を見せることこそが、「わからない」という言葉で逃げる若手技術者の心に直接問いかけることになります。

 

この考えは、今から400年ほど前の「不動智神妙録」という沢庵和尚の書物にも書かれていることです。

 

人の心を最も動かすには、動かしたい本人がその見本となるように努力することが重要だ、という事は今も昔も変わらないのです。

 

育成というと人を指導するという観点になりがちですが、技術者指導者層がその見本となるように向上心を持って努力することも重要な育成であるということを認識していただければと思います。

 

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